チャイニーズキッチン ポピー(滋賀・守山)
世の中は空前の街中華ブーム。
Twitterを見ても、YouTubeを流しても、雑誌を開いても、どこもかしこも街中華街中華街中華……そもそも街中華の「街」ってなんだ? 赤いカウンターで、鄙びていて、床が油でネトネトならそれが街中華なのか? 中華料理屋では駄目なのか? なんとなく、街とつくことによってしゃらくせ〜〜〜〜〜〜〜やつとと結びついている感が気に食わない。まあ、便利な言葉なので多分私もどこかで使っているが……。
今回紹介するチャイニーズキッチン ポピーは赤いカウンターもなければ床もネトネトではない中華料理屋だ。世間の“街中華”のカテゴリーからは外れるかもしれない。平成初期の香りの残る中華料理屋だ。集合住宅の一階に店を構えているというのがまたポイントだ。
外観は喫茶店のよう、しかしれっきとした中華料理屋だ。ドアを開けると赤ら顔のオッサンが会計を済ませていた。私に突然話しかける。「兄ちゃん、今日はイケメンデーやで、知ってたか。ビールたくさん飲むんやで」そう言って店を出て行った。
内観も良い。机に椅子、クロスに床の木目、照明に至るまで全てが平成初期。親戚のおばさんの家や、幼い頃祖父母に連れて行ってもらった喫茶店を思い出す。店内に流れるのはローカルのFMラジオ。全てが完璧に調和されたまま令和を迎えている。
「ごめんなさいね、でも今日はイケメンデーだから…」店員の女性は謝りながら私の席に水を置く。イケメンデーとは?
なるほどこの日は木曜日。生ビール2杯目3杯目が半額らしい。平成初期の空間にありながら、いらすとやのイラストだけが妙に平成後期〜令和を思わせる。
メニュー表がまた良い。豊富なメニューが並ぶレイアウト。Word感。定食からチンジャオロース定食とビールを注文する。
ビールを飲みながら、FMラジオに耳を傾ける。ローカルなラジオCMはまるでVaporwaveのようだ。私以外に客はいない。それどころか、これ以上誰も来ないと悟ったのか途中から表の照明を消して看板を中に入れてしまった。
そして届いたチンジャオロース定食は大変美味しかった。日本人の味覚に合わせた中華の最適解という感じがする。チンジャオロースはもちろん、サラダのドレッシングとスープがやけに美味いのが嬉しい。
気がつけばビールは2杯目。だって半額だもの。
(店舗情報)
チャイニーズキッチン ポピー
11:30〜14:00/17:30〜21:00 火曜定休