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鉄道開業150周年 東北周遊旅その1

今年2022年は1872年10月14日に本邦初の鉄道路線が新橋-横浜間にて開通してから150年周年の節目の年。JR各社でお得な記念切符が発売されており、中でもJR東日本の「鉄道開業150年記念 JR東日本パス」の内容は豪華でJR東日本の管内の在来線に加えて一部私鉄や特急、新幹線も連続する3日間乗り放題の大盤振る舞い。今回はそれを利用して東北を周遊した。

 

 

私が住んでいる関西から東日本へ向かう場合の交通手段として、新幹線が一般的だろう。ところが、新幹線のぞみ号自由席と同程度の金額で、グリーン車よりも楽しく快適に移動する方法がある。サンライズ出雲・瀬戸号である。サンライズ出雲・瀬戸号(以下サンライズ)は、ブルートレインが廃止された現在、国内で唯一毎日の定期運行をしている寝台特急。私はサンライズが大好きである。関西地方のサンライズ号の停車駅は姫路・三ノ宮・大阪。私が住んでいる滋賀県から乗車するなら大阪が最も近いが、あえて三ノ宮から乗車する。

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0時11分、サンライズは定刻通りに入線する。在来線の終電がまだ終わっていない時間。やはりこの列車の存在感は凄まじい。周囲のスーツ姿のサラリーマンの怪訝そうな眼差しの中、サンライズに乗り込んだ。今回は個室タイプの中で最もグレードが低いソロを選択した。浴衣も付いていて寝るだけならソロでも十分である。
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検札を済ませてビールを空ける。寝っ転がりながらビールを飲みつつ、岸政彦の「リリアン」を読み返す。岸政彦が描く淀川が大好きだ。尼崎を過ぎ淀川に差し掛かる。対岸に映える梅田のビル群は寝静まることを知らない。黒く輝く淀川とのコントラストが美しい。これを見るために三ノ宮から乗ったのである。

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隣の車両にロビーがある。1組のカップルと3人グループの鉄道オタクがいた。カップルはディズニー・シーに行くらしく、鉄道オタクグループは私と同じく150周年パスで只見線磐越西線に乗るらしい。それにしてもカップルでサンライズに乗ってディズニー羨ましいな...

空席に腰掛けてビールとじゃがりこを口に運びつつ、リリアンと車窓を交互に見る。作中のテンポの良い関西弁の会話と流れる夜景がぴったりだ。リリアンは夜の物語。寝静まった高槻、京都、そして最寄駅を通過する。見慣れた景色であるはずなのに、初めて見るような不思議な感覚。サンライズに乗って馴染みの土地を通過するのが1番楽しいかもしれない。列車が近江八幡を通過するあたりで眠気がピークに達する。残ったビールを飲み干し、歯磨きをして自室に戻る。仰向けになり毛布を被り、子守唄のようにガタンゴトンと鳴る走行音を聞きながら、瞼を閉じる。そして気がつけば部屋には朝陽が差し込み小田原を通過していた。前日買ったサンドウィッチを頬張り小一時間ほど二度寝をして、出発の準備をしてるうちに列車は東京駅に定刻通りたどり着いた...

その2へ続く