セクシー三昧

インターネットが掬いきれないお店の記録

おざわ食堂(大阪・茨木)

このブログを続けているとだんだんと良い店を見つけるコツのようなものが少しずつ分かってくる。それが本当に正しいかは分からないが、自分流の基準としてはなかなか活躍してくれる。その中でも今回一つ紹介すると「大病院の近く」というものがある。大病院の近くは不思議と昔からの店が残ってくれているような気がする。

本日紹介するのは大阪・茨木の「おざわ食堂」だ。大阪府済生会茨木病院の近くにある大衆食堂である。f:id:gtr7u6ik:20210302201057j:plain

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暖簾をくぐると店内は先客が一人。入ってすぐのところにショーケースがあり、おかずが並んでいる。店は高齢の母娘で営んでいるようだ。

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ショーケースからおかずを取り、ご飯と玉吸いを注文する。玉吸いは関西風の玉子スープでもいうか、出汁の効いた汁に玉子を溶いたものだ。

店を主に切り盛りしているのは娘で、かなりの高齢の母親は配膳を担当。足腰が危なっかしく、注文もすぐに忘れてしまう。「うち歳やからもう何も覚えられんねん」と言っては娘に呆れられる。そうして運ばれてきた玉吸いがこちらだ。

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この優しい風味がたまらない。寒の戻りが厳しい日だったのでなおさら嬉しい。そうこうしている間に料理が揃う。

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コロッケと天ぷらと唐揚げと野菜が盛られたもの。おざわ食堂流ミックスフライというべきか、そういえばこの名前のなさそうなフライ盛りは滋賀のきらく食堂でも食べたが、大衆食堂ではよくあるメニューなのだろうか。味は家庭的でとても美味しい。唐揚げもしっかりと下味がついている。

そして意外な発見だったのが大根の漬物だ。この味付けが市販では絶対に出せない、食堂の歴史を思わせる味わいだ。

母娘のやりとりは続く。「あんな大根こんな大きいのが150円やってん」と母が5回ほど連呼する、娘はやっと「じゃあ漬物にしよか」と答える。それを聞いた母は押し車を手に店の外へ。なかなか微笑ましい。

「こんな大きい」と言った大根もきっと絶品の漬物に生まれ変わるのだろう。大根も幸せだ。

(店舗情報) おざわ食堂 大阪府茨木市見付山1丁目5-14 日・月・祝定休