お好み焼き・鉄板焼き あやしろ
急にソースが欲しくなる時がある。
そんな時は京都駅の八条口から九条付近を彷徨えば解決する。
威勢の良い看板が食欲をそそる。
そばとうどんを選べるモダン焼きはスジやアブラカスがたっぷり。
後から調べて発覚したが、ラグビーの有名選手のご実家だそうだ。たしかにパワーがつきそうなボリュームだった。
この日は飲まなかったけど、"バクダン"が置いてたのでここは信用できる。京都の粉もん屋の良し悪しを測る一つの目安として、"バクダン"とか"アカ"が置いてるかどうかってのはかなり大きいと思う。バクダンの甘ったるさとピリッと辛いソースが不思議と合うんだよな。
(店舗情報)
あやしろ
17:00〜23:00
火曜定休
ドライブインオアシス(3月いっぱいで閉店します)
軽井沢に向かう、永遠と長い坂道の途中に店を構える昔ながらのドライブイン。50年の歴史がある。
ネット上でも数多くのレビューが付いているので今更取り上げる必要も無いのだが、なんと今年の3月一杯で閉店するとの事を店員さんから聞いたので書き留めたい。
重ねた歴史の重さを感じさせる素晴らしい外観。
中に入ると平日ではあるが人入りは良く、昼間から酒を飲んでいる常連と思しき姿も見られた。狭い個人店に入った時にこういう客を見るとどうしても警戒してしまうが、広い店内の数ある席の一つであると景色の一つとして目に映る。
ドライブインらしい豊富なメニュー。
アルミの急須のこの感じも最近はなかなか見ない。
注文した天そば。味が濃いめで、疲れた時に食べるとかなり美味かろう。トラックドライバーやお昼を食べに来る労働者達が集う場所だろうから一人で納得した。
ドライブインという形態自体風前の灯なので無くなるのは惜しい。
時間:8:00〜15:00
兼六食堂(大阪・寝屋川)
寝屋川シリーズ第三弾。今回紹介するのは「兼六食堂」だ。兼六食堂のイメージはとにかく安くて飲める。食堂なので腹も満たせて、もちろん昼から営業している。
京阪電車寝屋川市駅から徒歩10分ほどに兼六食堂はある。日之出商店街のアーケードをくぐろう。寝屋川市駅周辺は商店街が縦横無尽に張り巡らされている。
暖簾をくぐると手前の席で常連らしき3人組が昼間から赤ら顔。店主らしきおっちゃんはタバコを吸いながらテレビを見ている。良い雰囲気だ。
兼六食堂はメニューがすごい。数もそうだが特筆すべきはその値段だ。
定食は多くが500円未満。「エビ・カツ・ハムフライ・めし・汁」定食に至っては400円。「めし」「汁」という無骨な言い方が素晴らしい。
一品料理も和洋中が揃う。中華がやや多めか。餃子170円、ラーメン200円ともはや狂っている。経営が成り立つのか本気で心配になるレベルだ。
この日は立ち飲み屋を回る予定だったので、とりあえず餃子2人前と焼きめしを注文する。
どちらも素朴だがしっかりとした味付け。特に餃子は小ぶりながら肉にしっかりと味がついていてたまらない。ここで我慢できずハイボールを追加。餃子→ハイボール→餃子→チャーハン→ハイボールの順番で飲み進めてもう最高。
餃子170円×2、チャーハン300円、ハイボール360円でちょうど1000円。ごちそうさまでした。店主のおっちゃんも温かい人柄(ただし冷蔵庫の開け閉めの音がめちゃくちゃでかい)居心地のいい食堂でした。次は兼六食堂メインで飲みたい!
(店舗情報)
兼六食堂
10:00〜22:00
呑喜(大阪・門真)
寝屋川シリーズ第二弾(寝屋川シリーズとは言っているが所在地は門真市だ。このタイミングで知った)。
前回紹介した「立呑み処 優」から京阪電車で1駅の萱島駅にある「呑喜(のんき)」を紹介する。呑む喜びと書いて呑喜。早速喜びを噛み締めよう。
店先の張り紙からも分かるように、新型コロナウイルス対策がかなり徹底されている。「店内14名まで」「1組3名まで」「大声禁止」「カウンターは1人分空ける」などなど、ここまで徹底されているのも珍しい(この時代当然といえば当然の対策だ)。アルコール除菌をしてメニューを見る。
メニューは焼き鳥がメインで、一品ものも充実している。価格帯は焼き鳥が100円〜200円。一品ものが200円〜400円と一般的。とりあえずハイボールとどて焼きをつまむ。
焼き鳥はどうやら専用のグリルで焼き上げる本格派。ショーケースに並ぶ串打ちされたものを見ても新鮮な肉を使っていそうな雰囲気。
焼き鳥(=ねぎま)と皮をそれぞれタレで頂く。うん、やっぱりしっかりと焼き上げられていて普通の焼き鳥ではない。山椒を好みでかけるとなお良い。どうやら豚バラ塩串焼きも有名らしいが僕の目の前で売り切れてしまった。
店内は広く、メニューも多く、焼き鳥もこだわりがある。こんな店が近所にあると理想だと思える立ち飲み屋だった。
呑喜のある萱島駅周辺は立ち飲み密集地帯。歩いてみてその天国っぷりに気がついた。やっぱりその土地を歩いて自分の目で見ないと分からないことばかりだ。必ず再訪して全ての店を訪れたい。
(店舗情報)
呑喜
11:00〜22:00(土曜〜21:30)日曜休
立呑み処 優(大阪・寝屋川)
大阪府は数多もの鉄道が走っているので、鉄道沿線によって文化圏が異なる。阪急沿線で生きてきた僕にとって京阪沿線はもっとも遠い文化圏の一つである。
寝屋川市は大阪府の中央部から東に位置しており、淀川以南の土地である。20年以上住んでいるにもかかわらず一度も足を踏み入れていない土地だ。そこに訪れるきっかけが、一本のバスだ。地元のJR茨木駅から京阪バスで寝屋川まで一本で行けることを知った。しかも片道260円。それなりの距離を走るのにこの値段は行くしかない。そして行ってよかった寝屋川市。
寝屋川市は綺麗に区画整備された街だが、立ち飲み屋がたくさん存在する街でもあった。少し歩けば立ち飲み屋に出くわす夢のような街。今日紹介するのがそのうちの一軒、「立呑み処 優」だ。
来店したのは土曜の夕方16時半頃。店内は広くゆったりとカウンターに陣取ることができる。カウンターの奥にはなぜか公衆電話がある。
メニューの中に「ハムエッグ」を発見。これは注文するしかない。これは個人的な感想だが、ハムエッグを置く立ち飲み屋はまず間違いない。店主らしき男性が厨房の女性に注文を伝える。夫婦で経営だろうか。
まずはハイボールが届く。なんと氷はセルフスタイル。はじめてのパターンだ。自分好みに調整できるサービス精神。これはますます期待だ。
そして見よ!このハムエッグ!卵とハムだけのシンプルなもの。しかしながら卵を2個も使い、店主が味付けの相談に乗ってくれる。「ハムエッグを見ると立ち飲み屋がわかる」瞬間だ。この店の居心地の良さは保証された。そう、立呑み処 優は居心地がいい。広い店内はもちろん、皆静かに飲んでいる。そしてさりげないサービスがありがたい。僕の好きなタイプの立ち飲み屋だ。
さりげないサービス精神は続く。粕汁には、鮭の小骨用の小皿を添えてくれる。そしてこの粕汁の優しいこと。
注文が落ち着くと料理をしていた奥さんが常連のおっちゃんと話す。東日本大地震の話をぽつりぽつりと。その語りの穏やかさと静謐さがこの店を包み込む。
店名の「優」の名を体現したような、さりげないサービスが嬉しい店。この店のために僕はまた京阪バスに乗って寝屋川に行くだろう。
(店舗情報)
「立呑み処 優」
16:30〜22:00(日曜休)
ロレックス
この地はメガネフレームの産地として有名だが、1980年代に当時の市長がパンダと引き換えにメガネ作りの技術提供を行い、そのせいで中国の加工技術が上がり市場に安くてある程度の品質を維持したメガネが流通。鯖江市内のメガネ屋がバンバン潰れる事態にまで発展した。
しかも、送られてきたのはパンダではなくレッサーパンダ。現在もこのレッサーパンダは西山公園内の動物園にて順調に繁殖している。動物に罪は無い。
その西山公園から福井市へ向かう旧国道8号線を走っていると、古めかしい書体で「喫茶ロレックス」と書かれた茶色い看板が目に入る事だろう。
旧8を抜けて細い路地に入り山へ入る。本当にあるのか不安になる頃合いに、平成時代の遺跡みたいな建物が現れる。(実際は35年前に建てられたから昭和後期。)
わたせせいぞうの漫画に出てきそうな昔の洋風建築物?のような雰囲気だが、壁面のひび割れや看板の褪せた感じが重ねた何月の長さとかつての繁栄を静かに語っているようで、この儚い見た目にしばらく見惚れていた。
中身も思った通りのクラシックスタイル。かつてのラグジュアリー、かつてのトレンディ。
結構中は広く、席数が多い。レストラン並みだ。
店内音楽も、何というか展覧会で流れているようなクラシックともヒーリングともつかないインストで、この手の古い喫茶店では大体掛かっているイメージだが、これは何というジャンルなのだろうか。
メニューが滅茶苦茶豊富で、果たしてマスター1人でこなせるのかと不安になる。そもそも店内の広さ自体1人のキャパではない。
おそらく昔は昼時ともなると西山公園の観光客やランチのサラリーマンでごった返し、給仕等も雇っていたのだろうと推測される。
活気に溢れた店もそれはそれで良いが、ピークを過ぎ、自分のペースで高齢のオーナーが切り盛りする店もそれはそれで良い。そういう店でコーヒーを飲みながら在りし日の想像をするのが好きだ。
でも忙しそうじゃなかったら普通に直接聞くけどね。歴史のある店は昔話が面白い事が多いです。
時間:8:00〜21:00日曜定休