セクシー三昧

インターネットが掬いきれないお店の記録

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民家擬態系のカラオケ喫茶。擬態というより持ち家そのものだろう。

夕方に訪問すると、ベロベロに酔ったママが迎えてくれた。客が居らず、暇だったからとか。将来俺もこういうスタンスで仕事がしたい。

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「どこから来られた方?」

20〜30代の人間が来ると必ず聞かれる。地元である事を伝えると安心したようだった。

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中はカウンターとボックス席二つだけのこじんまりとしたスナック的内装。この狭さが落ち着く。フードは焼き飯ぐらいならすぐ作れるが、いかんせん高齢のママ一人で切り盛りしている為、時と場合は考えたい所だ。

奥に区切られた部屋は防音のカラオケ部屋で、かなり広く団体客用。コーヒー目当てで入る人間には有り難い、知らんジジイの歌う演歌は入店を思い止まらせるから。

この店は25年程で、それ以前は福井駅前に店舗があったらしい。そこも10年以上勤めたとか。

見知らぬ店にも歴史がある。なるべく多くの店を記録して行きたい。

 

場所:福井県坂井市丸岡町南横地4−38

時間:10:00〜22:00

とら吉(滋賀県・草津市)

駅から徒歩1時間。みなさんならどう考えるだろうか。まあありえないだろう。多分紹介しても誰も行かないのではないか。でも、セクシー三昧としてはどうしても紹介したかった。食堂とら吉である。

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場所はJR栗東駅からほぼ直線に1時間。浜街道と呼ばれる琵琶湖間近の通り沿いにある(湖の沿いなのになぜ浜街道なのだろう)。

店内はカウンターのみの席で清潔感があり広々としている。近隣の住人(主に若年層)が何組か座っている。メニューを見ると、直前の調査の通りフライ料理を推しているようだ。

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おでんと酒が並んでいるのも心惹かれるが、1時間の歩行距離で心身共に疲れ果てている。ここは自分の心に打ち勝った証としてトンカツ定食を注文。

定食を待っている間も近隣住民が次々と来店する。注文するのは皆、フライもの。どうやら間違いなさそうだ。肉を叩く音が店の中に響く。下処理にもこだわる良店の予感。

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届いたトンカツ定食がこちら。目を見張る大きさと、素晴らしい焼き具合。付け合わせがカレー味のスパゲティということで得点は100倍増しである。

肝心のトンカツは、琵琶湖畔の食堂とは思えない最高の揚げ上がり。脂身もとろける絶妙の具合が口の中に広がり、多めに盛られた白米が次々となくなっていく。気がつけば皿は全て空となっていた。

食堂とら吉、本当はあと何回か通ってから紹介したかったが、このトンカツの味は誰かに紹介したくてたまらなくなる味だ。栗東駅から徒歩1時間、みなさんも歩いてこのトンカツを味わってほしい。暗い夜道もトンカツがあれば平気なのだ。

(店舗情報)

食堂とら吉

滋賀県草津市志那町中町22-5

11:30-21:00水曜休

乾徳亭

とにかく店の中の猫臭が酷くてつらかった。ちょっとこれは飲食店としてはダメだろうというレベル。でも臭いの元の猫が今まで見た猫の中で1番可愛い見た目の猫だったのでどうでもよくなってしまった。動き回って写真撮れなかったのが悔やまれる。

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店の佇まいが素敵だ。60年前から存在する。

年月を感じさせる内装の中に妙なボーカロイド擬きの張り紙があって気になって仕方ない。

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女性店主に聞くと息子のよく分からない活動の絵らしい。自分から聞いておいて何だが、へぇと言ってしまった。

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蕎麦と焼き飯のセット。どちらも一食分ぐらいずつある。これに加えてサラダが出てくる。800円。学生や肉体労働者向けの定食屋だ。

 

 

場所:福井県福井市乾徳4-2-27

営業時間:聞き忘れた。水曜が定休。

アイウエオ

遠目からでも良く見える、ビル屋上の看板に「本 アイウエオ」と書いてある。

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看板の古さからして営業しているかどうかも怪しかったが、何ともなく営業していた。

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よくよく見るとこのビル自体経営者の持ち物なのか、喫茶店と本屋と不動産屋と手広く店を展開している。

今回は本屋の左隣にある喫茶店に入った。

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中は喫茶店というよりカラオケ喫茶だった。常連と思われるお爺さんが演歌番組を見てママと管を巻いていた。

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聞くところによると40年以上存在するようだ。

何故「アイウエオ」なのかと聞くと、覚え易いからとの事。そりゃそうだ。愚問だった。

駅から遠いのに昼間から酒を飲むママを見ると、自分には向いてないけど良い仕事だよなぁと常々思ってしまう。

営業時間:9:00〜20:00、日祝9:00〜18:00(第3日曜定休)

場所:福井県福井市乾徳3丁目10-3

まるとく(京都駅近)

「京都駅周辺でいかにして飲むか?」は永遠のテーマである。新幹線の停車駅でありながら、河原町といった繁華街からは遠く、お世辞にも食事をするという選択肢としては選びにくい京都駅。

しかし、だからこそ店を探す醍醐味がある。今日紹介する「まるとく」は京都駅八条口から徒歩5分という立地にありなが、広く落ち着く良店だ。

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まず気になったのは店外に掲げられた「セットメニュー」だ。生ビール+枝豆or冷奴+刺身or串カツor唐揚げで1000円は「とりあえず」として優秀。京都駅近ながら人気が少ないのを気にしながら入店。なんと19時前にもかかわらず客は僕一人。カウンターでおばさんがタバコを吸っていた。店内は想像以上に広く安心。

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セットメニューから冷奴と串カツを頼んで、メニューを吟味。卓上のメニューのほかにホワイトボードに本日のおすすめもある。価格帯もなかなか悪くない。

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そうこうしている間にセットメニューのビールと冷奴、串カツが届く。

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冷奴は極めてスタンダード。串カツは想像以上に量と種類がある。これと生ビールジョッキで1000円ならかなり満足できる。追加でナマコ酢とおにぎりを頼む。

セットメニューで飲んでいる間にも次々と客が来る。最初は一人で心配になったが、やはり京都駅近くということもあって繁盛しているのだろう。しかしながらとにかく広くて落ち着いていて混雑しないのは京都駅という巨大ターミナルにあっては貴重な存在だ。

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まずナマコは想像以上に身が大きくて新鮮。よくある薄切りのナマコを想像していただけに意外な喜び。そしておにぎりには味噌汁と漬物がついてくる。この日は腹が減っていたのでちょうどいい。セットメニュー+おにぎりの1500円で満足できそうだと確信。

正直、特別なメニューはない。しかし立地の利便性と店内の落ち着く雰囲気、隠されたサービス精神は何物にも変えがたいこの店の魅力だ。

京都駅周辺で迷ったら入ってみて損はない。

(店舗情報)

まるとく

京都府京都市南区東九条室町1

春駒

大阪の寿司屋、春駒を紹介する。「春駒ってお前セクシー三昧でそんな有名店取り上げんなよ」と思ったそこのあなた、甘い。

 

今回紹介するのは新梅田食堂街にある春駒。天満にある有名店とは一切関係がないらしい。恥ずかしながら私も系列店とばかり思い込んで入店したわけですが...

Googleなんかで「大阪 春駒」と調べるとばっちり天満の2店舗が出てくるが、新梅田食堂街の春駒は殆ど出てこない。そう、インターネットに掬われない名店を掬うのが我々の目的である。

 

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暖簾がかっこいい。昭和26年より新梅田食堂街で営業し、L字型のカウンターのみのこじんまりとしたお店。ショーケースにはびっしりと魚が並んでいる。期待できそうだ。f:id:gtr7u6ik:20210303151505j:image
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新梅田食堂街の春駒と天満の春駒のどちらが美味しいといった優劣を決めるような評価を下すことは避けるが、ネタはこちらの方が大きいように感じた。もちろんネタはどれも新鮮で美味しい。シャリも口の中でホロホロと解ける良い握り具合。どのネタも安くて財布にも優しい。
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締めに大将おすすめのかす汁を飲んだ。酒粕はオリジナルのブレンドでクセがなくて飲みやすい。七味唐辛子が酒粕の甘さとコクを引き立てる。野菜が贅沢にゴロゴロと入ってるのも嬉しい。どうやら相当のおすすめらしく、注文した時の大将の嬉しそうな返事は忘れられない。マスク越しでも伝わってくる笑顔。相当自信作なんだろうな。

 

(店舗情報)

春駒

大阪府大阪市北区角田町9ー26(新梅田食堂街内)

17:00〜23:00

定休日:日曜日

おざわ食堂(大阪・茨木)

このブログを続けているとだんだんと良い店を見つけるコツのようなものが少しずつ分かってくる。それが本当に正しいかは分からないが、自分流の基準としてはなかなか活躍してくれる。その中でも今回一つ紹介すると「大病院の近く」というものがある。大病院の近くは不思議と昔からの店が残ってくれているような気がする。

本日紹介するのは大阪・茨木の「おざわ食堂」だ。大阪府済生会茨木病院の近くにある大衆食堂である。f:id:gtr7u6ik:20210302201057j:plain

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暖簾をくぐると店内は先客が一人。入ってすぐのところにショーケースがあり、おかずが並んでいる。店は高齢の母娘で営んでいるようだ。

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ショーケースからおかずを取り、ご飯と玉吸いを注文する。玉吸いは関西風の玉子スープでもいうか、出汁の効いた汁に玉子を溶いたものだ。

店を主に切り盛りしているのは娘で、かなりの高齢の母親は配膳を担当。足腰が危なっかしく、注文もすぐに忘れてしまう。「うち歳やからもう何も覚えられんねん」と言っては娘に呆れられる。そうして運ばれてきた玉吸いがこちらだ。

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この優しい風味がたまらない。寒の戻りが厳しい日だったのでなおさら嬉しい。そうこうしている間に料理が揃う。

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コロッケと天ぷらと唐揚げと野菜が盛られたもの。おざわ食堂流ミックスフライというべきか、そういえばこの名前のなさそうなフライ盛りは滋賀のきらく食堂でも食べたが、大衆食堂ではよくあるメニューなのだろうか。味は家庭的でとても美味しい。唐揚げもしっかりと下味がついている。

そして意外な発見だったのが大根の漬物だ。この味付けが市販では絶対に出せない、食堂の歴史を思わせる味わいだ。

母娘のやりとりは続く。「あんな大根こんな大きいのが150円やってん」と母が5回ほど連呼する、娘はやっと「じゃあ漬物にしよか」と答える。それを聞いた母は押し車を手に店の外へ。なかなか微笑ましい。

「こんな大きい」と言った大根もきっと絶品の漬物に生まれ変わるのだろう。大根も幸せだ。

(店舗情報) おざわ食堂 大阪府茨木市見付山1丁目5-14 日・月・祝定休