cafeリベール
この世の退屈を全て詰め込んだかのような中腰の茶色いビル。数台の車と何らかの企業が一階に入っているのが見える。
大きな国道から離れて、駅からも遠く、果たして今後の人生においてこのビルと自分は一度でも関わりを持つだろうかと思わせるような、そんな説得力を纏ったビル内に、よく目を凝らすと意外にも純喫茶が入っていたので驚いた。
前の店が立ち退いた時ここに拠点を構えたそうだ。前の店もそうだがなんたってこんな辺鄙な場所に...と思う。
テナントが入っている社屋の左側の奥まった通路のその先にある扉を開くと気品溢れる昭和の内装が見えた。ベルベット地の朱色のソファーがなんとも時代を感じさせる。
焼きうどん味噌汁付き(700円)を注文した。11:30頃だったが、その頃から常連と思しき人達が3人も入ってきて、俺の焼きうどんを作る為に「ちょっと待っててね」と一声断っていて少し申し訳なく思った。失礼ながら、まさか3人も来る店だとは...。
焼きうどん、何故必ずあるんだろう。そして何故妙に注文したくなるんだろう。香ばしい出汁と焼けた野菜の香り。
俺のオーダーが終わった後、何も聞かず常連3人分のコーヒーを淹れ始める。何も聞かなくても出てくる、本物の常連だ。
オーナーと常連たちは、この時間になると餌を啄みにエナガやメジロが窓の外にやって来る、あぁそうこう言う間に来たわ、と4人で窓の外に目をやっていた。年配者の話題は風流すぎる。この境地に、自分も自然と達するのだろうか。
営業時間:9:00〜16:00