珈琲所
福井市の繁華街の役割を一手に担う福井片町に、早朝からオープンしている老舗の喫茶店がある。
このビル自体どれほど昔の物なんだろうか。店の外観は歴史を雄弁に物語る。
珈琲所と名乗るだけあって多種多様な豆を取り扱う。店の中に染み付いた香ばしい香りが心地よい。
カウンターにあるハズキルーペから客層が絞られる。常連によって支えられるこの美しい店もいつかは閉まる。
ハムサンドを注文。パンがソフトではなくローストしてあって香ばしい。どの喫茶店でもサンドイッチを注文すると必ず塩も出てくるんだけど、コレはサンドイッチのノウハウが無かった頃は塩で味を整えるのが普通だった(当時マヨネーズとか無かったから)ので、その名残らしい。だから別に現代のサンドイッチには塩を振る必要は無い。フードメニューは店主が忙しく無い時だけ受けてくれる。かなり高齢なので無理をさせないように。
コーヒーを楽しむ時間は入れる時から始まっていて、目の前で入れる店主の所作や少しずつドリップされていく様子を眺め、香りを楽しみながら少しずつ飲む。非常に贅沢な時間だと思う。人は精神的にこういう余裕を失うと大概ロクな目に遭う。
ここの店主は昔自分が働いていた古い映画館の前社長と顔馴染みで、映画館自体も建て替え前の姿を知っていた。相当昔の話だ。福井市の移ろいとともに歩んだこの店の歴史に想いを馳せる。これからも末永く続いてほしいと思う。この店誰か継いでくれないかな。
営業時間: 7:30〜18:30（土・日曜は8:30〜18:00）
第3日曜定休その他不定休
