セクシー三昧

インターネットが掬いきれないお店の記録

洋食ユキ(大阪・守口)

洋食ユキは、大日駅から少し歩いた住宅街にある。
周囲は昭和の文化住宅と平成になって建てられた一軒家が入り交じり、裏手には小学校もある。大阪のどこにでもあるような住宅街だ。この日は休日なので道路に子供が飛び出していたり、お年寄りがゆったりと歩いている。

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僕が「洋食ユキ」を知ったのはGoogleマップの検索で偶然引っかかったからだ。
Googleマップの照準を行ったことのない駅に合わせる。その周辺を自分の関心のあるワードで調べてみる。いい雰囲気のところが見つかったらストリートビューで歩いてみる。そしてある程度その街へのイメージを膨らませてから訪れる。本当に街歩きをしている人たちからは邪道かもしれないが、臆病なインターネット人間の僕にはこれくらいの準備があった方がやりやすいのだ。

「洋食ユキ」にはユキライスなる名物がある。
そういえば「○○ライス」は各地に点在しているように思える。有名なのは長崎の「トルコライス」。あとは金沢の「ハントンライス」に福井の「ガルボライス」。地域のオリジナルライスがいつの間にか名物になっているパターンが多い。しかし一方で、大々的な名物にはならないもののひっそりと愛され続けるライスもあるのだろう。ユキライスは後者のように思えた。そんな風に長年愛されてきたユキライスに興味を持ち、僕は大日に向かった。

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ユキライスがなかったら何を食べるだろう。僕の大好きなハムエッグがある。洋食屋の焼きめしも気になる。でもやっぱりポークチャップだろうか。今は無きカレーはどんな味だったのだろう。ビールがあるのもいいな(今は飲めないか)。そんな思いでユキライスを待つ。
高齢の店主のフライパンさばきが心地良い。ライスが綺麗に宙を舞って炒められていく。カツが揚がるタイミング、玉子の固さなど全てが熟練の技を感じさせる。

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出来上がったユキライスがこちら。カレー風味のご飯の上に、玉子でとじたカツを乗せてそのうえに特製のソースがかかっている。見た目としてはトルコライスに近いが、ソースがデミグラスというよりもウスターに近い(しかし完全にウスターではない、デミグラスのような深さも感じる)。そしてこの味がなんとも止まらないのだ。美味しいものをより美味しく。そんな心意気を感じる。
トルコライスみたいにメジャーなグルメにはならないかもしれない。しかし、ユキライスが愛され続けていることはこの味が証明している。もしかするとユキライスは十年後は食べられなくなっているかもしれない。それだけがなんとも物悲しい。

 

(店舗情報)
洋食ユキ
大阪府守口市八雲東町2-52-2
11:00~14:00(月曜定休)