アメリカン
福井県坂井市にある東尋坊という観光名所の近辺は基本的に宿泊施設や民家ばかりで、観光地近くの近辺がこんなに寂しくていいのかと言いたくなるような閑散とした通りだ。
海沿いは国定公園に指定されているのでどの道新しい建物も建てられないのだけど、実を言うと昔はそこら中喫茶店ばかりだったらしい。
今日紹介するのは昭和から令和を生き残ったアメリカンという老舗喫茶店。
まるでアクアリウムショップのような外観だ。数年前にこのようなデザインにするまではもっと普通の見た目だったらしい。青に浮かぶレトロな"アメリカン"のフォントが滅茶苦茶浮いている。正直この壁絵はアメリカンの持つ老舗の風合いを殺していると思う、俺は老害だから尚更そう思う。
テラス席には永遠に吠える犬が居る。
吠え癖がいつまでも直らないそうだ。こればかりは仕方ない。
店内は木とレンガ調のカントリーウェスタンな装い。
アメリカンの名前に偽り無し。でも、壁絵がなぁ...。(俺はしつこい)
フードメニューがかなり豊富で工夫を凝らしている印象を受けた。
今回は焼き飯オムライスを注文した。
端的に言うと、卵が乗ったチャーハンだなぁと思った。デミグラスソースとも特に違和感は無い。でもそんなにシナジーも感じなかった。次はがんもどきの和風オムライスを行きたい。味の想像が付かないから。
海沿いの喫茶店という事もあって景色はかなり良い。ちなみに、
この店の道路を挟んだ対岸にある休憩スペースは、昔は東尋坊を一覧できるヘリコプターのヘリポートになっていたらしい。
↑今のこの閑散とした東尋坊の様子からは想像も付かないが、土日はアメリカンの前の道が渋滞するくらいには人が押し寄せていたそうだ。その道自体も砂利道だったらしい。
こういう昔話を聞くたびに、バブル期の日本の姿見てみたかったな〜〜と強く思う。
営業時間:11:00〜日没まで 木曜定休
webページ:https://american-392.com/
店自体は(正確には分からないが)少なくとも30年以上経っているものの、代替わりした店主がまだまだ現役世代なのでPayPayが使えてペット同伴可、公式ホームページも有り、かなり"生きてる"お店でした。
紅鈴蘭
福井市の運動公園の前の車通りの多い道沿いに、一際古そうなカラオケ喫茶が見える。
素晴らしい見た目だ。スナックというより景品交換所のような怪しさを漂わせている。周りの店がほぼ新しい建屋になっているのでより一層異彩を放っていた。中に入ると更に素晴らしい。
生活が、年月が、このコンパクトな空間に凝縮されている。
日曜日の16:00頃伺ったが客は俺1人だけ。その分ママさんとたくさん喋られた。
この小上がりなんてかなりキュートだ。まるでおばあちゃん家のような生活感。
ママさんに「このお店何年経ってると思う?」と聞かれ、30年くらいですか?と答えたら丁度正解してしまった。(正直もっと経っているかと思ってサバを読んだ。)人間に対してのミスにならなくて済んだから、まだセーフか。
場所:福井県福井市福1-2705(電車とかは近くにない、バスはある)
営業時間:14:00〜18:00(喫茶タイム)18:00〜23:00(スナックタイム)スナックタイムはチャージ千円 不定休
喫茶 マリンナ
JR和歌山駅を出て左手にあるみその商店街の喫茶店。人通りがまばらで多くの店舗のシャッターが降りており、街の中心部から外れてるとは言え県庁所在地のターミナル駅至近の商店街としては少々寂しい。そんな中ひときわ目を引くのが喫茶マリンナ。ヨーロッパの城郭を思わせるレンガ造りで宇宙船のような窓。カッコいい。
この日頼んだのはドリンク代にプラス200円のモーニングセット。なんといっても口をあんぐり開かないと食べられないほどの分厚いトースト。嬉しいねぇ。卵焼きもトロトロの火加減。付け合わせのサラダもケチ臭くなく、たんまり盛ってくれてる。ブレンド珈琲は苦味がしっかりしてる。なんだか気分がシャキッとした。
他の料理も満足なボリュームで出してくれるようで、前の席のおじさんが食べてたパフェはまるで東京タワー。今度食べたいなぁ。
やはり喫茶店のモーニングは生活を豊かにする。
7:00〜18:00
モーニングは12:00迄
日曜定休
cafeリベール
この世の退屈を全て詰め込んだかのような中腰の茶色いビル。数台の車と何らかの企業が一階に入っているのが見える。
大きな国道から離れて、駅からも遠く、果たして今後の人生においてこのビルと自分は一度でも関わりを持つだろうかと思わせるような、そんな説得力を纏ったビル内に、よく目を凝らすと意外にも純喫茶が入っていたので驚いた。
前の店が立ち退いた時ここに拠点を構えたそうだ。前の店もそうだがなんたってこんな辺鄙な場所に...と思う。
テナントが入っている社屋の左側の奥まった通路のその先にある扉を開くと気品溢れる昭和の内装が見えた。ベルベット地の朱色のソファーがなんとも時代を感じさせる。
焼きうどん味噌汁付き(700円)を注文した。11:30頃だったが、その頃から常連と思しき人達が3人も入ってきて、俺の焼きうどんを作る為に「ちょっと待っててね」と一声断っていて少し申し訳なく思った。失礼ながら、まさか3人も来る店だとは...。
焼きうどん、何故必ずあるんだろう。そして何故妙に注文したくなるんだろう。香ばしい出汁と焼けた野菜の香り。
俺のオーダーが終わった後、何も聞かず常連3人分のコーヒーを淹れ始める。何も聞かなくても出てくる、本物の常連だ。
オーナーと常連たちは、この時間になると餌を啄みにエナガやメジロが窓の外にやって来る、あぁそうこう言う間に来たわ、と4人で窓の外に目をやっていた。年配者の話題は風流すぎる。この境地に、自分も自然と達するのだろうか。
営業時間:9:00〜16:00
大型ショッピングモールのフードコートで飲む
新年あけましておめでとうございます。今年も数年後には誰も顧みない情報を拾い集めてネット上に記録していけたらと思います。
そんなめでたい新年一発目の内容としては相応しく無いとは思うのですが、最近あまり善悪の判断が付かなくなってきたのでこれはもう書こうと思います。
前々から思っていたのですが、大型ショッピングモールのフードコートって酒盛りに丁度いい造形になってると思いませんか?
少し歩けばモール内にお酒コーナーがあるし、フードコート内には色とりどりの屋台が並んでいる。何なら惣菜コーナーでチャーシュー切り落としを買ったって良い。つまみ、酒、座席、これらが揃ったフードコートは少し大掛かりな角打ちと呼べなくもないと思う。
そういう訳で、福井県坂井市春江町にあるショッピングセンター「アルプラザ アミ」のフードコートで実際に飲んで検証しました。
普段の土日は家族連れで賑わうこのコート内も平日ともなれば多少の平静を取り戻す。ただっ広い空間をやけに煌々と照らす室内灯は、これから酒盛りを始めようとする俺に対する冷ややかな眼差しのようにも感じられた。さすがに引き返すべきなのかもしれない、法的にどうこう言われる筋合いは無いが、倫理的に。(所によっては飲酒NGのフードコートもあるから注意書きを読もう。)
しかし、もう遅い。
素材は既に購入済みなのだから。ここで果てるしか無い。
つまみはフードコートのたこ焼き。
もくもく亭というかなり老舗のたこ焼き屋。独特の甘いソースが強烈に"昭和"を想起させる味わいで、滅茶苦茶旨いというわけではないのに意外とハマる。フードコートにあるこの店を"グルメ"のカテゴリで捉える人間はほぼ居ないと思うが、俺は地味に名店だと思っている。
酒も店内で買える。意外と地ビールが売ってたりして面白い。
ちゃんとした酒屋もあるのでその気になれば本気飲みも可能。そうなったらいよいよ終わりだと思うが。
他にもケンタッキーだってあるし、
俺が子供の頃から既にお爺ちゃんだった人が未だに店先に立ってる軽いスナック系の店もある。あの人一体何歳なんだろう。
フードコート飲みをしてみた感想...
端的に言ってさほど愉快なものでは無い。平日とはいえ他の客も離れた位置に座り、昼特有の喧騒がある。その空間に酒盛りしてる人間は俺だけで、居心地は良く無い。自分達が普段外飲みをして得られる高揚感は、お店の雰囲気混みだったんだなという事を強く認識させられた。それでも好きなつまみや酒へのアクセスは容易なので、角打ちとしてはこんな贅沢な場所他には無いなとも思う。今回は1人で飲みに行ったが、友達を連れて軽く談笑しながら短時間飲むくらいなら丁度楽しめそうだなと感じた。「今フードコートで飲んでるからお前も来い」というラインを友達に送れる程に俺は壊れていないので今後も1人でコソコソ利用するけども。
居酒屋一番
東尋坊という大きめの崖ら辺に出店や遊覧船を備え付けて観光地と言い張ってる福井の名所があるんですが、そこからもう少し離れて地元民の生活区画に相当する素朴なテナントビルの一階に店を構える居酒屋を紹介します。
平日でもランチタイムを設けている珍しい居酒屋で、客は殆ど居ない。交通量の多い交差点に面しているので立地的には悪くないだろうが営業中かどうかが外目では全く分からない上に付近にはファミレスや安くて美味い地元の穴場の寿司屋、コンビニ等があり、昼時は皆そちらに流れていてここはいつもガラガラだ。だから昼間に静かに飯を食いたい時、よくここを訪れる。人気が無いと言ってしまえばそれまでだが、俺にとってはこういう店こそ穴場だと感じている。
内装の古臭さが良い。昭和の雰囲気を感じる。雑多な感じの物の多さとか仄かに感じる生活感が昨今出来た店からは発せられない愛嬌が出ている。
もの凄いおじいちゃんがやってる店だろうなと思って入ったらブラックボードにポップな筆感の文字。実は意外と店の人は若い。こういう所で若い人が働いてるのを見ると、この店は"生きてる"なと感じる。我ながらもの凄く無神経な感想を抱く。
日替わりではなくて何となく豚キムチ定食を頼む。この日は大根の収穫がピークを迎えており体が疲れていた。何か赤い食い物を腹一杯食わないと気が済まなかった。赤い食い物は美味いと相場が決まっているので。俺が思うに豚キムチはどう転んでも不味くなりようがない。豚肉とキムチ炒めるだけなのだから当たり前だ。なのでこのお店がどれくらい良い店なのかは正直よく分からない。少なくとも豚キムチは美味かった。多分地元民に根付いた普通の居酒屋なんだろうと思う。土日の昼に来ると愛嬌のある若い店員を目当てにしているであろうおじさん達が昼間から酒をかっ喰らっている姿を見られる。俺もその中に入れてくれよと思う。きっと夜はそれなりの客入りで繁盛しているんだろう。
営業時間:11:00〜14:00-17:00〜23:00水曜定休
公開した後に気付いたんだけど、なんか今日の記事内容、露悪的で陰険な感じがして良くない、まるでヤフコメとか食べログみてぇじゃんと思ったのでホラーフォントを採用した稀有なもんじゃ焼きやさんの写真を載せるのでそれ見て癒されて下さい。
もんじゃ やま
それではさようなら。
かさろっさ
ようやく新型感染症の猛威も落ち着き、福井の誇る繁華街片町も以前ほどでは無いにせよ活気を取り戻し始めていた。
そんな折に新たな変異種ウイルスの話も出てきているので依然として油断は出来ないものの、自分も少しずつ飲み屋巡りを再開している。
今回紹介するのは福井のゴッドマザー的な女将が1人で切り盛りする小さなおばんざいのお店。
14年ほど前に片町にオープン。それ以前も40年同じ店名でスナックを営んでいたそうだ。
店内は小上がりが一つとカウンターが6席のみ。
そもそも6人も来られたら手が回らないので今以上の集客は望んでいない様子だった。
ご飯はおばんざいの店なのでカウンター上に並んだ物やおでん、黒板に書かれたメニュー等。値段は書いてないがおでん盛り合わせとお酒、銀杏焼きを食べて2300円だったからそう高く取られることは無い。
写真を撮り忘れたが、おでんは朝から出汁から取ったもので結構美味い。仕込みに手間を掛けているようで料理のこだわりが強いが昼間は農家で働いておりかなり忙しなく毎日動いているようだ。そして(名物と言ってもいい)女将はドスの効いた声とどっしりした態度、それでいて人柄が気さくな所はこの店のリピーターを増やしているだろう。あまり目立つ店でもないが、福井に来たら是非訪れてみてほしい一軒。
営業時間:19時頃?〜客がいなければ22:30には閉める