立ち飲み屋、歩いて行くか?交通機関で行くか?
行きたい立ち飲み屋が遠いとき、どうするか?
無論、然るべき交通機関を利用して行くだろう。
その際の出費はせいぜい300円程度だ。
しかしだ。
立ち飲みについて考える上で「安さ」というのはやはり一つの重要なファクターだ。さらには根が形式主義に囚われて体裁を重んじる傾向にある今野にとっては、立ち飲み屋目当てに交通費を出すのはどこか野暮なように思われるのであった(この一文は言うまでもなく西村賢太のオマージュである。西村賢太の小説にはやたらと「根が〜」という表現があり、なんとTwitterにはnotもある)。
というわけで件の立ち飲み屋は、京都は西大路御池にある「高木与左衛門商店」である。角打ちの名店だ。
西大路御池は馴染みが薄い土地だ。
地下鉄東西線の駅であり、京都市バスの停留所もある。御池通りは京都の大動脈的な通りであり、高木与左衛門商店も地下鉄の駅すぐの立地にある。
立地は抜群だが、いかんせん西大路御池には普段行かない。慣れない土地特有の慎重さで店に向かう。
結論から言うと、非常に良いお店だった。
角打ちなので酒は当然安い。瓶ビール大瓶400円は破格だ。さらには料理も豊富でしかもリーズナブル。角打ち特有のルールの複雑さはなく、さらには一人でのんびりと飲むことのできる雰囲気がある。
この日は「味噌煮込みおでん」「山芋明太子」「らっきょコンビーフ」の3点と瓶ビールで1200円だった。
特にらっきょうとコンビーフの組み合わせが意外にも抜群だった。
翌日はJR西大路駅〜西大路御池駅まで歩いてみることにした。西大路通をまっすぐ歩くので苦ではなさそうだ。
歩くこと約30分、高木与左衛門商店に到着。
入ってまず驚いたのは、おでんが日替わりメニューだったことだ。この日は「豚バラのおでん」だ。分厚く切られた豚バラの旨みがたまらない。
続いてボラの白子、ベーコンエッグを注文する。
ハムエッグやベーコンエッグがメニューにあると、なんで無条件で嬉しくなるんだろう。自分で作れるメニューだし、何も特別でもないのに、こんなにも特別に感じるのだろう。ハムエッグとベーコンエッグ。これでいい。ハムエッグとベーコンエッグをひたすら巡る食べ歩きとかしてみたい。
今日の会計も1200円。
帰りはバスに乗る。
このことからも分かるように、表題の件だが、ケチってあまりにも長距離を歩くことはおすすめしない。ただ、歩いた後のビールは格別だ。これをよしとするかは、読んでいるあなたに託したい。