セクシー三昧

インターネットが掬いきれないお店の記録

西明石ふわふわり

 

 駅を降りた瞬間に、その街を好きになれるかどうか分かる瞬間がある。それは決して明確な基準があるわけではなく、その駅周辺の空気感がなんとなく肌に合うか、ということでしかない。しかしながら飲み屋の存在は大きい。駅の周囲の飲み屋はその近辺の空気感を醸成しているといっても過言ではない……と、思っている。

 

 さて西明石だ。

 友人たちに誘われて初めてやってきた街だ。

 僕は京都線ユーザーなので、西明石といえば下り電車の「普通 西明石ゆき」のイメージである。なんとなく終着駅だし「遠い」というイメージと、「明石」という地名から「そこまで遠くないだろう」というイメージがある。

 

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 写真は西明石駅を降りてすぐの光景。

 あっ、僕はこの街がたぶん好きだと直感する。

西明石地下秀味街」を横目にはじめの店へ。

 

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 はじめに訪れたのは「立呑み弍捨番」。店構えと看板の「ちょっと一杯 立ち呑み処」という看板がよい。中に入り、友人たちと合流する。

 店の中は広く、恰幅のいいサラリーマンの皆さまが楽しそうに飲んでいる。メニューは壁のホワイトボードに書かれていて、全品100円〜400円と全部安い。しかも刺身やおでんはもちろん、変わり種のメニューも多く目移りしてしまう。ドリンクももちろん安い。

 ぼんやりとメニューを見ていると、左隣のニコニコしたおっちゃんと目が合う。たぶん話しかけるべきだったのだろうが、僕は人と話すのが苦手だ。

https://note.com/potayan/n/n979c3aea83e6

 友人は先に刺身盛りとてっぴ(ふぐの皮)を頼んでいたようだ。うむむ、てっぴもあるのか。

 そして注文したのがこちら、紅しょうがの天ぷら。

 

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 刻んだ紅しょうがをかき揚げににしており、これが美味い。紅しょうが天は大きな身をそのまま揚げるイメージだったので、かき揚げは初めて。アツアツでたまらない。

 

 そのまま二軒目へと向かう。

 西明石は見渡せば立ち飲みがずらりと並んでいる。

 どことなく天満を連想する立ち飲み天国だ。

 これは僕の悪い癖でもあるが、初めて行く街のことは徹底的に調べてしまう。西明石も様々なサイトや、レビューを見まくった。それでも知らない店、それも魅力的な店がずらりと並んでいる。期待をいい意味で裏切ってくれたのも西明石が好きな理由だ。きっとここで暮らしていたらたぶん毎日でも飽きないだろうな。

 

 二軒目は先程あげた「西明石地下秀味街」にある「立呑み あいわ」。

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 こちらも価格は手頃、それでいて新鮮な魚介と鶏料理が楽しめる良店。刺身醤油が九州風なのも嬉しく、写真に撮ってはいないが鶏のつくね串がなんとも酒が進む絶品さだった。

 

 西明石は「ふわふわり」と歩くのに本当に良い街だ。

 歩きながら、どんな店で飲んでもいい。

 立ち飲みでも、そうでなくても。

 飲まなくたっていいのだ(ちなみにこの日、歯科治療後の僕は飲めなかった)。

 このあと僕たちは「もっこす」でラーメンを食べに行くのであった……

 西明石に来ることができて本当によかった。大感謝である。また来たいと思う。

 

 記事のタイトルの「ふわふわり」は、Tsudio Studioさん、SNJOさん、HiRO.JPさんの3名によるプロデューサー・ユニット〈光学〉がリリースした「Opto1:高野ユニコ」より「Night Walk Party」の一節からインスパイアを受けました。「パーティさんぽふわふわり 今からちょっとくりだそう」という歌詞はまさしく西明石の夜を表しているかのようでした。

 

 

 

執筆者:今野ぽた